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“火薬学会誌”から
“Science and Technology of Energetic Materials”へ

編集委員会委員長
越 光男

「火薬の歴史を振り返ってみたとき、火薬のこれまでの日本の発展、高度成長への貢献には多大なものがありましたが、時が移り、バブルの崩壊、国際化、規制緩和等の社会の大きな変動の中で、火薬はいままさにその生存と将来への発展に向けて、多くの課題を解決し、新たなる挑戦をしていかなければならない状況にあり、今後、産業界や官界のご協力を得て、学会自らが重大な役割を果たす必要があります。」

(火薬学会ホームページ:田村火薬学会会長挨拶より)

田村会長の挨拶に述べられているのと同様に、火薬学会誌もまた、その生存と将来への発展をかけて行動をとらなければならない時期にきている。学会誌における投稿論文数は近年急激に落ち込んでいるし、また投稿者が限られた研究グループに偏っているのも大きな問題である。
火薬学会を取り巻く状況は極めて厳しい状況にあるといえる。このような厳しい状況のもとで、我々は火薬学の存在意義を問い直さなければならない。火薬業界が成熟した業界であるのと同様に、「火薬学」も成熟した学問領域であり、学会誌の役割は既に終わった、とする考え方もあり得るであろう。2000年に、「高エネルギー物質化学ハンドブック」が、また2001年には「発破工学ハンドブック」が刊行された。これらは日本の火薬学の集大成を世に示したものである。では「火薬学」は既に完成された学問体系であろうか?上記2冊のハンドブックからも明らかなように、「火薬学」は学際領域の学問であり、それを構成する学問領域はほとんどすべての自然科学領域を含んでいる。これらの火薬学を構成する学問領域の中には目覚しい進展を遂げている領域もある。たとえば、火薬学の最も基礎的領域である物理化学分野では特に分子科学の進展が目覚しい。また計算機科学の進展はすさまじく、その成果は数値流体力学や分子科学、反応速度論、発破工学などの諸分野に広く応用されている。これら火薬学を構成する学問諸領域における進展からすれば、火薬学はいまだ成熟した学問とはいえないことは明らかであり、火薬学が対象とすべき研究分野も多く残されている。これも一例をあげるならば、「火薬はなぜ爆発するのか」といった最も基本的な問いに火薬学はいまだ答えを与えてはいないのである。
火薬学を構成する基礎学問諸領域の発展を真摯に取り入れて、新しい「火薬学」の体系を築くことは我々に課せられた責務である。ただし、我々が築くべき新しい学問体系が「火薬」という伝統的概念の中で閉じている必要は無い。火薬学を構成する諸学問領域との連携を深め、これら諸領域の目覚しい進展を火薬学に取り入れる必要がある。また、学会誌の国際化も必要である。学問の進展は本質的に国際的であり、国内に閉じた学問はあり得ない。これまでは諸外国からの火薬学会誌への投稿が規約の面から制限されていたが、これらの規約を改正して外国からの投稿を受け入れやすくすることは既に編集委員会にて決定されている。 火薬学を構成する諸学問領域を含んだ高度な水準の国際的学術誌を目指し、火薬学の新展開を図ることを目的に、“火薬学会誌”を“Science and Technology of Energetic Materials”と改称することが本年度総会にて決定された。本号より改称されるが、本誌は火薬学会の論文誌であり、巻号はそのまま引き継ぐ。また、国際誌を目指すが、邦文の論文を排除するものではない。
高エネルギー物質科学を中心とした新しい学問分野を構築し、学会誌ひいては火薬学会をさらに発展させるため、本誌の読者からの積極的な投稿を切にお願いしたい。

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