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2018年度火薬学会賞

奨励賞  塩田 謙人 君

「アンモニウムジニトラミドの融点降下におけるアミド化合物および硝酸塩の効果」

 塩田謙人君は,アンモニウムジニトラミド(ADN)をベースとした高エネルギーイオン液体推進薬に関する研究に従事し,その成果を「Effects of amide compounds and nitrate salts on the melting point depression of ammoniumdinitramide」としてScience and Technology of Energetic Materials 誌に発表している。
 ヒドラジンは宇宙での推進剤として広く使用されているが,その毒性と高揮発性が故に,その取扱いには十分な注意が必要であり,低毒性の推進剤が求められている。固体の高エネルギー物質を溶剤に溶かして液状化する検討も行われているが,燃焼性能に問題がある。この解決策として高エネルギーイオン液体に着目し,ADN の共晶化によるイオン液体の生成に取り組んでいる。本報では,ADN 共晶化システムの理解を深めるため,数種のアミド化合物およびアミン硝酸塩の添加効果を検討した。その結果,アミド化合物は何れも共晶による融点降下を示し,分子量の小さいものほどその効果は大きかった。また,アミン硝酸塩は硝酸アンモニウムを除いて,アミド化合物と同様に大きな融点降下を示した。これは,ADN とアミン硝酸塩との間でイオン交換が行われ,マルチコンポーネントが形成されたためと推測された。
 塩田謙人君の研究は,宇宙での推進剤としてヒドラジンに代わる高エネルギーイオン液体推進薬の開発に影響を与えるものであり,今後の発展が期待される。この研究成果は高く評価され,当学会に大きく貢献するものであり,火薬学会奨励賞に値するものである。

推薦論文

  1. Kento Shiota, Masataka Itakura, Yu-ichiro Izato, Hiroki Matsunaga, Hiroto Habu, and Atsumi Miyake, Effects of amide compounds and nitrate salts on the melting point depression of ammonium dinitramide, Sci. Tech. Energetic Materials, Vol.79, No.5, pp.137─141(2018)

略歴

2013年3月 横浜国立大学工学部物質工学科 卒業
2015年3月 横浜国立大学大学院環境情報学府環境リスクマネジメント専攻 博士課程
前期修了
2016年4月 日本学術振興会 特別研究員(DC2)
2018年3月 横浜国立大学大学院環境情報学府環境リスクマネジメント専攻 博士課程
後期修了博士(工学)
2018年4月 横浜国立大学先端科学高等研究院 助教
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