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爆発安全専門部会/過去の専門部会の記録

野村花火工業株式会社 見学記

日本カーリット株式会社 福田光寿

1.はじめに
 平成22年3月30日(火)に爆発安全専門部会と火工品専門部会合同で 野村花火工業株式会社を見学する機会を得たので報告する。

2.野村花火工業株式会社について
 今回見学した野村花火工業株式会社の工場は茨城県水戸市にあり、 JR常磐線内原駅からタクシーで北に15分程の、 市街地から離れた周囲に保安物件の無いロケーションにある。
 野村花火工業は明治8年(1875年)創業であり、 平成元年に四代目となる野村陽一氏が代表に就任し、現在に至っている。
 土浦全国花火競技大会(茨城県)、大曲全国花火競技大会(秋田県)、 隅田川花火大会コンクールの部(東京都)ほか数々の大会優勝の実績があり、 2002〜2005年(4年連続)2008、2009年(2年連続) と土浦全国花火競技大会に総合優勝し、計6回の内閣総理大臣賞受賞。 2004、2005、2007、2008年には大曲全国花火競技大会においても総合優勝し、 計4回の内閣総理大臣賞を受賞している。

写真1 内閣総理大臣賞賞状
 また、野村社長はNHKで2006年8月31日放送の 「プロフェッショナル仕事の流儀」に取り上げられ、番組に出演しており、 最近この時の内容がコミック版として発売されたそうである。

3.見学会の概要
 見学は工場内全てを野村社長に案内して頂いた。 工室内では作業員の方が手作業で花火を作っており、 填薬仕込工室では割り薬と星を職人技で均一に並べ、慎重に作業を行っていた。 また、仕上げ工室では、玉貼り作業を行っており、 クラフト紙を3枚貼っては日乾場で乾燥し、 3枚貼っては乾燥するという作業を繰り返し行っているとのことであった。

写真2 填薬仕込作業

写真3 仕上げ工室玉貼り作業

写真4 野村社長による説明を受けている様子
 見学当日は天候に恵まれたため、日乾場では所狭しと星の乾燥が行われていた。 日乾場見学後、星掛工室へと移動したが、星掛け作業は行っていなかったため、 実際の作業の様子を見学することはできなかった。 最後に打ち上げ筒の倉庫、及び火薬庫を外側から見学した。

写真5 日乾場での星の乾燥
 見学後は食堂にてディスカッションとなったが、 このなかで打ち上げ時に現在使用しているFIRE ONEという電気点火器を紹介頂いた。 写真6の左側の赤いケースが本体であり、右側のモジュールを最大39台接続することができる。 本体とモジュールの接続に使用するコードは2芯の一般的なコードでよいとのことであり、 取扱いも簡単のようである。 この点火器によりコンピュータ制御された様々な打ち上げを行うことが可能となる。

写真6 電気点火器(FIRE ONE)

4.終わりに
 普段見ることのできない煙火工場を見学することができ、非常に有意義であった。 最後に、今回の工場見学を快諾して頂き、丁寧に説明していただいた 野村花火工業株式会社 野村社長をはじめ、社員の皆様に感謝いたします。

写真7 参加メンバー集合写真

引用文献
1)野村花火工業、 http://www.hanabi.e-mito.jp/、 (参照日:2010年4月30日)

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