爆発安全専門部会/過去の専門部会の記録 |
東工大TSUBAME見学記
中国化薬(株) 小倉将隆
1.はじめに 爆発安全専門部会において、 東京工業大学大岡山キャンパス内の学術国際情報センターに設置されている スーパーコンピューティング・グリッドシステム「みんなのスパコン:TSUBAME」を、 平成20年3月27日に見学することができましたので、ご報告致します。 2.見学会の概要 1)見学者(10名) 飯田、大森、小倉、栗原、加藤、伊達、鈴木、中山、吉田、山口 2)大岡山キャンパスについて 東京都目黒区大岡山に位置する大岡山キャンパスは、 大きく分けて大岡山地区、大岡山北・緑ヶ丘地区、石川台地区から構成されており、 「TSUBAME」が運用されている学術国際情報センターは、大岡山地区の一角に有る。 当該センターは、1971年に情報処理センターとして発足し、 1976年に設置された総合情報処理センターと、 1979年に設置された理工学国際交流センターが統合され、 2001年に現在の学術国際情報センターに統合され、 2006年4月にTSUBAME Grid Clusterの運用が開始されている。 又、当該センターは最先端の情報技術を駆使して、研究・教育の支援を行い、 またその成果を国内外の研究機関、教育機関等に発信して交流・連携を深め、 研究・教育の活性化、国際交流の発展に寄与することを目的としている。 3)TSUBAMEの特徴 Tokyo-tech Supercomputer and UBiquitously Accessible Mass-storage Environment の頭文字を取ってTSUBAMEと命名されているが、 大学のシンボルマークである「つばめ」のことを掛けてもいるとのこと。 そのシンボルマークは、工業の「工」の字に、つばめを「大」の字に図案化されている。 TSUBAMEは、2006年6月に38.1TeraFlops (1TeraFlops=1秒間に1兆回の浮動小数点演算を行う)を達成し、 世界のスーパーコンピューター性能ランキングTOP500ランキングにおいて 7位にランクインした。2007年11月には、56.43TeraFlopsを達成し、 日本では4期連続No.1を記録したシステムである。 AMD Opteron CPUを搭載したSun Fire X4600が655ノードで 10,480 CPUコアとX86系システムとしては、世界最大級のCPUコア数を誇っている。 又、ClearSpeed CSX600を採用したスーパーコンピューターシステムとしても世界初、 世界最大規模である。 4)みんなのスパコン:TSUBAME TSUBAMEは、スパコンとしての利用のみならず、東京工業大学の学生を始めとして、 大学に属する全ての人々にその利用権が与えられている。 利用する際のキャンパス共通認証・認可システムも2005年度に構築され、 学籍を取得すると同時にシステムの利用権限が設定された身分証が発行され、 システムごとのIDやパスワードの管理が不要になり、 利用者および管理者の利便性が大幅に向上している。 又、日本の基盤センター系としては、初めて公式に外部の私企業の利用を認めている。 昨年度は12社が利用し、今年度は既に8社が利用申請を行っている。 5)学術国際情報センター・教授 理学博士 青木尊之先生のお話 今回の見学会全般についてお世話を頂いた青木先生より、 東京工業大学でTSUBAMEを使って研究している大規模シミュレーションの事例説明があった。 テーマ名は以下のとおり。 (1)磁場のシミュレーション (2)高解像度台風シミュレーション(雲のモデル化:写真1参照) (3)Protein Folding(新しいタンパク質の発見) (4)上昇する気泡流の直接シミュレーション(写真2参照) (5)TNTのEXPLOSION (6)様々な乱流場の直接数値計算 (7)落石のシミュレーション |
写真1 高解像度台風シミュレーション |
写真2 上昇する気泡流の直接シミュレーション |
6)TSUBAME見学 TSUBAMEは、世界最大級のCPUコア数を誇っていて、 大多数のCPUは当該センターの2階計算機室に設置してある。 室内には所狭しとコンピューターノードが組み込まれたストレージが立ち並んでいる。 又、冷却効率を確保するため、室内のAir flowにも気配りが見受けられる。 (写真3・4参照) |
写真3 ノードルーム |
写真4 ノード内部 |
7)今後のTSUBAME TSUBAME1.5として、 現行のTSUBAMEのさらなる性能向上が計画されており、更に、 2010年3月導入を目指して、次世代のTSUBAME2.0の研究開発が進められている。 3.おわりに 今回の見学会で、世界トップレベルのスパコンを見学でき、又、 大規模シミュレーションソフトを用いて産業イノベーションの手助けを行い、 幅広く社会貢献を行っている「先端研究施設共用イノベーシヨン事業」に感動致しました。 今後の更なる発展を期待したいと思います。 又、見学会当日は、大学の入学試験合格発表日でもあり、各部活動の勧誘も行われ、 懐かしい学生時代を思い起こせた。更に、本館前には他所では見られないような桜並木があり、 桜見物を楽しんでいる一般の見物客が大勢見られ、 非常に開放的なキャンパスの様に見受けられた。 最後に、今回お世話になった青木先生に見学者を代表して、 お礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。(写真5・6参照) |
写真5 本館前の桜並木 |
写真6 見学会参加者 |
© copyright 1999-2008 japan explosives society. all right reserved.
|