2001年度火薬学会賞-技術賞 |
「フッ素系高分子を利用した水中衝撃波測定センサーに関する研究」 水中爆発試験は,火薬類の性能を定量的に評価するための有効な試験方法の一つとして広く用いられている。 従来,水中爆発試験にはトルマリンの結晶を感圧素子として用いたトルマリンゲージが使用されてきた。しかしながら,トルマリンゲージを用いた場合,トルマリン結晶の脆弱性のため100MPaを超えるような高い圧力領域での水中衝撃波の測定が困難となる。近年,金属板の成型や新素材の合成に広く水中衝撃波が用いられており、高い圧力領域での水中衝撃波の測定が必要となってきている。また,水中爆発現象の破壊的効果を正確に把握する為には,水中衝撃波と同様,バブルパルスを定量的に測定することが必要となるが,トルマリンゲージを用いた場合,水中衝撃波の通過後のベースラインの変動等によりバブルパルスの定量的な測定が困難となる。 本研究は,フッ素系高分子が持つ優れた感圧性と耐圧性に着目し,特定の分子構造を持つフッ素系高分子を感 圧素子として選択することにより,100MPaを達かに超えるような高い圧力領域で使用可能なセンサ―を開発しようとするものである。本研究の成果は,水中爆発現象の解明に大きく貢献するのみならず,水中爆発現象の工学的応用の発展に大きく寄与するものであり,技術賞に値するものである。 推薦論文 「フッ素系高分子を利用した水中衝撃圧測定用センサ―の開発II」 −フッ素系高分子の分子構造と圧力センサ―性能の関係− ―火薬学会誌Vol.62,No.4,184(2001) 「フッ素系高分子を利用した水中衝撃圧測定用センサ―によるバブルパルスの測定」 ―火薬学会誌Vol.62,No.6,297(2001) 略歴 1986年3月 秋田大学鉱山学部資源化学工学科卒業 1988年3月 秋田大学大学院鉱山学研究科燃料化学専攻修士課程修了 1988年4月 日本油脂株式会社入社武豊工場化薬研究所配属 1997年4月 秋田大学大学院鉱山学研究科機能物質工学専攻博士課程終了現在に至る |
技術賞は,火薬関係技術の進歩に貢献し,成果を会誌又は論文誌に発表した社員に授与しています。
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