2003年度火薬技術賞-技術賞 |
「生石灰を主成分とする静的破砕剤に関する研究」 静的破砕剤は、主成分の酸化カルシュームが水和反応で水酸化カルシュームを生成するとき体積が約2倍に膨張すること利用して岩石等を破砕する目的に供されているもので、市街地等発破振動が許容されない場所の岩盤を破砕するために欠くことができないものである。 福井久明君の研究は、静的破砕剤製造における炭酸カルシューム高温焼成時の熱分解反応に関するものとの静的破砕剤による被破砕物の破砕機構に関するものである。熱分解反応において酸化カルシュームの粒子構造を決定する機構について検討し、生成物と母塩の格子常数の差による剪断応力で陽イオンがずれて生成物が形成される均一反応説に実験結果が一致することを明らかにした。一方、破砕機構については静的破砕剤の膨張圧と亀裂の発生の関係を明らかにし、AE法によって破砕初期の亀裂発生挙動を考察した。また、静的破砕剤の水和反応によるボアホール内の膨張圧は均一ではなく、最初ボアホールの下から1/4付近のところから破砕剤の膨張が開始し、次第に上下に膨張が広がっていくことを見出した。 以上の研究成果は、静的破砕剤の粒子構造の設計や静的発生剤の破砕効率や破砕方向の制御等静的破砕剤の利用技術を向上するための基礎的知見を与えたものであり、将来の静的破砕剤利用技術の高度化に大きく寄与するものであり、技術賞に値する。 推薦論文「生石灰を主成分とする静的破砕剤(第4報)」─ 炭酸塩の熱分解反応 ─ ─ 火薬学会誌,Vol.62, No.1, 39 (2001) 「生石灰を主成分とする静的破砕剤(第5報)」─ 静的破砕剤の破砕性能評価 ─ ─火薬学会誌,Vol. 62, No.5, 225 (2001) 「生石灰を主成分とする静的破砕剤(第6報)」─ 静的破砕剤の破砕性能 II─ ─ Sci. and Tech. Energetic Materials, Vol.64, No.1, 25 (2003) 略歴
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技術賞は,火薬関係技術の進歩に貢献し,成果を会誌又は論文誌に発表した社員に授与しています。
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