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2005年度火薬学会賞

論文賞  三好 仁 君

 三好仁君は,永年にわたり安全性の高いPBXの開発に関して,大気中や水中での数多くの評価試験を行い性能把握に携わってきたが,最近では,火薬類の工業的な応用に観点を置いた研究を精力的に進めてきた。

 火薬類が爆発した際に発生されるエネルギーは周囲に球状に広がり,目標に対して実際に使用できるのは発生したものの一部に過ぎない。これらのエネルギーを工業的に応用するには指向性を持たせて特定の方向だけに集中させる必要がある。この考え方を実現する手段として成形爆薬がある。

 成形爆薬には円筒型成形爆薬(CSC: Conical Shaped Charges)と,線上に展開したV型成形爆破線(LCS: Linear Shaped Charges)がある。CSCとLSCが作動するとジェットと呼ばれる超高速の飛翔体が生成する。

 推薦の論文は成形爆薬により生成される超高速飛翔体を工業的に応用する方法に関して,(1) CSCから生成される超高速のジェットの先端だけを取り出すことにより,7.0,9.0および10.6 km/sの模擬スペース・デブリを作り出すこと,(2) LSCの侵徹性能向上に係わる基本的性能を把握し,侵徹威力向上および破片生成量低減を図ることに関する研究成果をまとめたものである。

 本論文の研究成果は,模擬スペース・デブリに関するものは宇宙機のパンパーの設計評価に,LSCについては鋼鉄製の大型構造物のより効率的な解体・撤去工法にそれぞれ活用できるものであり,論文賞に値するものである。

推薦論文

略歴

1970年3月山口大学工学部工業化学科卒業
1970年4月中国化薬株式会社入社
1984年8月中国化薬株式会社 技術開発部 実験課長
1999年8月中国化薬株式会社 吉井工場 火工開発部長
2004年3月中国化薬株式会社 企画部 参事 現在に至る
2004年4月熊本大学大学院自然科学研究科 博士後期課程入学(社会人特別選抜)
2006年3月熊本大学大学院自然科学研究科 博士後期課程修了 博士(工学)

論文賞は,火薬関係科学又は技術に関し,顕著な論文を論文誌に発表した社員に授与しています。

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