吉田忠雄君は,永年にわたり,火薬類の製造法,爆発安全の研究などを行って優れた研究成果を挙げ,多数の論文・解説などを発表している。
特にニトロ化及び硝酸酸化に関する研究は著名であり,海外を含む多くの研究者から注目され,火薬学会論文賞を受賞している。
爆発安全においての業績から安全工学協会北川学術賞を受賞したほか,火薬類保安通商産業大臣表彰,産業安全内閣総理大臣表彰を受けている。
さらに火薬類などの高エネルギー物質の合成法に関する分野や爆発安全に関する分野においては,同君が所属していた東京大学,法政大学,足利工業大学において多くの若手研究者を育成し,博士号取得者を数多く輩出した。
同君の指導を受けた研究者の多くは日本の火薬学を担う中核として大学,研究所,企業において活躍している。
また,足利工業大学学長に就任してからは,同大学大学院工学系研究科に煙火学専攻(通称花火大学院)を設立し,また自らも煙火に関する研究を展開して多数の論文を発表するなど,煙火の学理の進展に多大な貢献をなした。
以上から,吉田忠雄君の業績,活動および火薬学会への貢献は誠に顕著であり,学術賞に値する。
1956年3月 | 東京大学工学部応用科学科卒業 |
1956年4月 | 日本化薬株式会社入社 |
1963年4月 | 東京大学工学部燃料工学科助手 |
1968年3月 | 工学博士 |
1977年4月 | 東京大学工学部反応化学科教授 |
1991年4月 | 東京大学名誉教授 |
1991年4月 | 法政大学工学部機械工学科教授 |
1999年5月 | 足利短期大学学長 |
2000年5月 | 足利工業大学学長 |
2008年4月 | 足利工業大学顧問 |
学術賞は,火薬関係科学又は技術に関し,顕著な業績を有し,且つ,若手研究者の教育・指導に著しく貢献した社員に授与しています。