角谷文彦君は,永年にわたりANFO爆薬,含水爆薬に代表される産業用爆薬の研究開発に携わってきたが,特にこれら産業用爆薬における不爆現象に関しては精力的に研究を進めてきた。
硝酸アンモニウムを主原料とする産業用爆薬は非理想爆轟を呈するが,わが国を始めとして世界各国で広く使用されており,特に含水爆薬はダイナマイトにほぼ置き換わっていると言っても過言ではない。
しかし,含水爆薬の爆轟伝播においては,爆薬の置かれた密閉条件,衝撃波の負荷などにより伝播状況が著しく影響を受け,時として爆轟中断に至り,不爆現象が発生する場合がある。
本研究では,トンネル発破工法の一つであるスムースブラスティング工法における爆轟中断現象であるチャンネル効果現象に焦点をあて,チャンネル効果現象の発生機構,また防止策に関して検討を行った。
本研究の成果は,爆薬の爆轟伝播性の改善策を示唆するのみでなく,発破作業における不爆現象発生阻止,しいては発破作業における安全操業に大きく寄与するものであり,論文賞に値するものである。
「Photographic study of channel effect on emulsion explosives」 - Sci. Tech. Energetic Materials, Vol.67. No.5, 2006, pp.147-152 |
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「Effect of surface roughness on the precursor air shock wave in channel effect of emulsion explosive」 - Sci. Tech. Energetic Materials, Vol.68. No.3, 2007, pp.73-78 |
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「Influence of obstacles on the precursor air shock wave progression」 - Sci. Tech. Energetic Materials, Vol.68. No.3, 2007, pp.79-84 |
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「A study on smooth blasting technique using detonating cords」 - Sci. Tech. Energetic Materials, Vol.67. No.6, 2007, pp.167-171 |
1987年3月 | 名古屋市立大学薬学部製薬学科卒業 |
1989年3月 | 名古屋市立大学大学院薬学研究科(修士課程)修了 |
1989年4月 | 日油株式会社入社 愛知事業所 武豊工場 研究開発部配属, |
産業用爆薬の研究開発に従事 | |
1997年5月 | 北海道日油株式会社 出向 |
2001年4月 | 日油株式会社 愛知事業所 武豊工場 研究開発部 復職 |
2004年5月 | 同工場 製造部 製造課 |
2008年1月 | 同工場 監理部 品質保証課 |
現在に至る |
論文賞は,火薬関係科学又は技術に関し,顕著な論文を論文誌に発表した社員に授与しています。