衝撃大電流による銅細線の一斉爆発を利用することで,PETN爆薬中に円筒状発散爆轟波,
収束爆轟波および平面爆轟波が比較的容易に生成でき,これまで軸対称構造体の膨張・分裂,
収束波による極限状態生成および材料合成装置などに応用されてきた。
本研究では,平面爆轟波を円筒の動的座屈と衝撃波透過による材料の力学特性変化の把握に適用している。
前者では,生成した平面爆轟波で飛翔させた円板を供試ステンレス円筒に軸方向衝突させ,
円筒に軸対象波形の折畳変形パターンを有する動的塑性座屈が発生することを確認している。
また数値シミュレーションによる再現や円筒変形による円板の運動量吸収率についても検討している。
後者の研究では,ステンレス鋼,アルミニウム合金材の円板供試体に,平面爆轟波入射による衝撃波を生成させ,
モーメンタムトラップ法を適用することで衝撃圧縮された供試体を大きな損傷を発生させずに回収することに成功し,
材料の力学特性に関する各種の計測実験を実施している。その結果,通過圧縮波の強さや材料に応じて,硬度,
引張強度及び流れ応力の重大な上昇と伸び・延性の特徴的な変化が明らかになった。
以上の研究成果は,爆発衝撃が負荷される構造・材料の動的現象の解明に大きく寄与するものであり,
技術賞に値する研究成果である。
1969年5月 | 東京大学工学部産業機械工学科卒業 |
1971年3月 | 東京大学大学院工学研究科機械工学専攻修士課程修了 |
1971年4月 | 三菱重工業株式会社入社 技術本部広島研究所配属 |
1981年5月 | 米国 Rensselaer Polytechnic Institute 客員研究員(〜1982年8月) |
1986年10月 | 工学博士(東京大学) |
1989年4月 | 熊本大学助教授(工学部) |
1994年3月 | 熊本大学教授(工学部),現在,同学大学院自然科学研究科教授 |
現在に至る |
技術賞は,火薬関係技術の進歩に貢献し,成果を会誌又は論文誌に発表した社員に授与しています。