砂漠の緑化への試みは世界各地で行われており大きな期待が寄せられている。しかしながら,
地球上の乾燥地帯は大部分が岩石砂漠地帯で占められており緑化活動が非常に困難である。
そこで,発破という人工的な手段で岩石を微細化することにより,
岩盤地帯を緑化可能な土壌地帯にかえる可能性について着目されている。
加藤勝美君は,安価でかつ低感度である硝安油剤爆薬(ANFO)を用い,岩石を土壌の構成粒子(2mm以下)まで瞬間的に破砕し,
なおかつ栄養素である硝酸アンモニウム(AN)を土壌に拡散させるために有効である発破条件の検討を行っているものである。
特に,水との関係に重要な0.02mm以下の土壌構成粒子の割合と,爆薬の装薬条件,装薬量,
爆薬と岩石との接触面積との関係について貴重なデータが示されている。
また,ANFO爆薬にその他の肥料成分を装填して発破を行うことにより,
肥料成分が発破後の土壌に同時に拡散することを検証している。
また,砂岩と花崗岩での岩石破壊効果および栄養素拡散効果についても評価,検討を行っている。
研究成果として,岩石の土壌構成粒子への破砕および栄養素の拡散に関する効果的な発破方法についての検証と考察は,
爆薬の利用技術を向上するための知見を与えるとともに,今後の利用技術の高度化に大きく寄与するものである。
従って,本研究は技術賞に値するものである。
2005年3月 | 東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了 |
2005年3月 | 博士(環境学)(東京大学) |
2005年4月 | 独立行政法人産業技術総合研究所爆発安全研究センター特別研究員 |
2008年4月 | 改組に伴い,同研究所安全科学研究部門特別研究員 |
2009年4月 | 福岡大学工学部化学システム工学科助教 |
現在に至る |
技術賞は,火薬関係技術の進歩に貢献し,成果を会誌又は論文誌に発表した社員に授与しています。