火薬類やエネルギー物質の爆発影響評価には爆風の伝播挙動が欠かせず,従来より多数の研究が為され,TNTを基準爆薬として多くの爆風パラメータが発表されてきた。
しかし,爆発時の状況は様々であり,より現実に即した爆発威力の評価法が求められている。
新井裕之君は,地上及び爆発チャンバー内でTNTを爆発させ,爆風圧の計測を行った。エネルギー物質の関わる爆発事故や爆発物事件では地表面だけでなく地上から有限の高さで爆発することも多いことから,まず,地上高0.6mでTNT が爆発した際のピーク過圧及び換算正相インパルスを計測し,得られた結果から換算距離に関する3次回帰近似式を獲得し,また,爆薬形状の影響に関しても考察した。
さらに,従来,TNTは小薬量の実験では完爆性に疑問があったため,小薬量での基準曲線が無かった。
そのため,粉状のTNTを用いることで50g でも完爆性を確認すると共に,爆発チャンバー内での爆風パラメータに関する2次回帰近似式を得た。
これらの研究成果は,野外及び屋内での爆風圧評価の基礎となるもので,様々なエネルギー物質の爆発影響評価への寄与するものであり,技術賞に値する。
1993年3月 | 大阪大学工学部応用精密化学科卒業 |
1993年4月 | 警察庁科学警察研究所法科学第二部爆発研究室研究員 |
2004年4月 | 同 主任研究官 |
2004年9月 | スウェーデン王国ルーレオ工科大学客員研究員(〜11月) |
2005年3月 | 横浜国立大学工学府機能発現工学専攻博士課程修了 |
博士(工学)(横浜国立大学) | |
現在に至る |
技術賞は,火薬関係技術の進歩に貢献し,成果を会誌又は論文誌に発表した社員に授与しています。