煙火等の製造は古くから行われており、その保安管理技術は苦い経験に基づいたノウハウが盛り込まれて構築され、現在においても発火・爆発防止のための種々の対策が検討され、実施されてきている。しかしながら、煙火に係る重大爆発事故が絶えることはなく、また、一旦発生すると、公共の安全を脅かすこととなる。煙火を構成する化学物質の危険性に関して科学的な解析を行い、発火・爆発のメカニズムを数値的に捉えて、危険要因を排除することが重要である。
松井君は、「キラキラ星」と呼ばれる星に点滅剤として含有されている金属―三硫化アンチモン系の製造工程で使用される「水」に着目し、その混触反応性について詳細に検討を行った。その結果、使用する水によって含まれる陰イオンが異なると、発熱反応の進み方が異なることを確認した。更に、混合物の初期温度に依存して、発熱反応に誘導期があること等を明らかにした。
これらの研究成果は、煙火等の製造工程における発火事故を防止するために非常に有益であり、今後の煙火等分野の発展に大きく貢献できるものと期待できる。よって、奨励賞に値する。
1996年3月 | 九州産業大学大学院工学研究科工業化学専攻修士課程 修了 |
1996年4月 | 社団法人日本煙火協会(現:公益社団法人日本煙火協会)入社 |
2005年1月 | 同社 主任 |
現在に至る |
奨励賞は,火薬関係科学又は技術に著しく貢献し, 成果を会誌又は論文誌に発表した若手社員に授与しています。