松本幸太郎君は,高エネルギーポリマ GAP(グリシディルアジドポリマ)を主燃料とするガスハイブリッドロケットの研究を実施し,2本の研究論文を Science and Technology of Energetic Materials 誌に投稿している。1本目の論文では,マグネシウム,ジルコニウムといった金属燃料を添加し,着火遅れ特性を実験的に明らかとした上で,酸化剤の温度の影響,金属粒子の着火性について論じている。2本目の論文では,両金属の着火特性を物理化学的に調査し,金属粒子の反応の違い;表面反応あるいは気相反応,に着目した有意義な議論を展開している。また,金属を添加した場合,燃焼効率が高まり,特にマグネシウムの場合,実用に耐えうる高い効率を持つことを明らかにした。
これらの論文は,ハイブリッドロケットシステムの今後の発展に大きな寄与を果たす結果を与えている。宇宙推進技術への影響度は高く,奨励賞に値する。
2010年3月 | 日本大学理工学部航空宇宙工学科 卒業 |
2012年3月 | 日本大学大学院理工学研究科航空宇宙工学専攻 博士前期課程 修了 |
2015年3月 | 日本大学大学院理工学研究科航空宇宙工学専攻 博士後期課程 修了 |
奨励賞は,火薬関係科学又は技術に著しく貢献し, 成果を会誌又は論文誌に発表した若手社員に授与しています。