髙橋賢一君は,固体ロケットの固体推進薬であるコンポジット推進薬の性能の向上を目指し,コンポジット推進薬が燃焼中に起こるアルミニウム粒子の集塊の機構を解明するために,燃焼実験による推進薬の燃焼表面の観察と燃焼中のアルミニウム粒子の周辺の熱流体力学的な数値シミュレーションによる研究を行っている。これらの研究成果を研究論文として Science and Technology of Energetic Materials 誌へ投稿している。
燃焼実験による観察では,アルミニウム粒子の集塊過程を詳細に観察し,集塊粒子径を取得することによって,推進薬の燃焼表面近傍の反応層との関係を明らかにした。また,熱流体力学的な数値シミュレーションでは,燃焼中のアルミニウム粒子まわりの燃焼ガスの流れをシミュレーションし,アルミニウム粒子が燃焼しているときの周囲の温度分布と粒子径の関係を明らかにした。
髙橋賢一君の研究は,アルミニウム粒子を添加したコンポジット推進薬の性能を予測するために必要なアルミニウム粒子の集塊径と燃焼速度を推測するための研究成果であり,コンポジット推進薬の性能の向上に不可欠な研究である。これらの研究成果は,火薬業界の発展に寄与するものであり,よって,火薬学会技術賞に値する。
1986年10月 | 日本大学理工学部航空宇宙工学科 入学 |
1990年3月 | 日本大学理工学部航空宇宙工学科 卒業 |
1990年4月 | 日本大学理工学部航空宇宙工学科 副手 |
1995年4月 | 日本大学理工学部航空宇宙工学科 助手 |
2014年3月 | 日本大学 博士(工学) |
2015年4月 | 日本大学理工学部航空宇宙工学科 専任講師 現在に至る。 |
技術賞は,火薬関係技術の進歩に貢献し,成果を会誌又は論文誌に発表した社員に授与しています。