杉山勇太君は,実規模における高エネルギー物質の爆発影響評価を目指し,数値解析手法の独自開発,それを用いて野外実験等での爆風伝播現象を解明する応用研究を実施している。その過程で得られた研究成果として,実験室規模および野外実験での爆風などを評価した数値解析結果を2015年中に Science and Technology of Energetic Materials にて3報発表した。
火薬類の爆発によるフィジカルリスク評価技術では,実規模での実験による評価は困難であり,数値シミュレーションによる評価が有効であることは知られている。このため,杉山勇太君の研究では,実規模の爆発現象に対応できる数値シミュレーション技術を開発し,新規火薬庫形状の相違や,土堤モデルを設置した際の爆風に関する伝播現象に関する研究を実施し,数値シミュレーションから爆発影響を評価することが可能となったことを示した。
杉山勇太君の研究は,火薬類が爆発した場合に発生する衝撃波の伝播を数値シミュレーションから評価できる研究成果であり,野外実験等で実施されている地下式火薬庫の爆発現象の解明に加えて,火薬庫等の安全性を実規模で評価するためには不可欠な研究である。また,これらの研究成果は,火薬業界の発展に寄与するものであり,今後の発展が期待できることから火薬学会賞技術賞に値する。
2008年3月 | 慶應義塾大学理工学部機械工学科 卒業 |
2010年3月 | 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻 前期博士課程終了 |
2013年3月 | 慶應義塾大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻 後期博士課程終了 |
2013年4月 | 独立行政法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 研究員 |
2015年4月 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 研究員 |
技術賞は,火薬関係技術の進歩に貢献し,成果を会誌又は論文誌に発表した社員に授与しています。