杉江祐司君は,次世代固体ロケット燃料の原料として期待されるアンモニウムジニトラミド(ADN)の合成反応における熱危険性に関する研究を進め,特に最新の熱分析技術を駆使して ADN 合成における最も重要なスルファミン酸塩のニトロ化について,種々の条件下における熱挙動を観察,考察し,その成果をISEM2014や火薬学会研究発表会において発表するとともに,以下の論文を Science and Technology of Energetic Materials 誌に発表している。ニトロ化の制御失敗時にどのような挙動を示すかを明らかにしており,今後のエネルギー物質合成の研究開発に資する貴重な情報を提供した。また,熱分析の国際会議 41st Annual Conference of North American Thermal Analysis Society への参加記を EXPLOSION 誌に発表し,当該分野の国際的研究動向について報告した。
以上,一連の研究および活動は,エネルギー物質合成反応中の熱分解現象の解明,安全な合成方法の探索に貢献する基盤技術ならびに基礎情報として高く評価され,当学会に大きく貢献するものであり,火薬学会奨励賞に値するものである。
2003年3月 | 横浜国立大学教育人間科学部地球環境課程卒業 |
2005年3月 | 横浜国立大学大学院環境情報学府環境生命学専攻博士課程前期修了 |
2005年4月 | 日本カーリット株式会社 入社 |
2012年4月 | 横浜国立大学大学院環境情報学府環境リスクマネジメント専攻 博士課程後期入学(社会人特別選抜) |
2015年3月 | 横浜国立大学大学院環境情報学府環境リスクマネジメント専攻 博士課程後期修了,博士(工学) |
2016年10月 | 独立行政法人製品評価技術基盤機構 出向 |
奨励賞は,火薬関係科学又は技術に著しく貢献し, 成果を会誌又は論文誌に発表した若手社員に授与しています。