中村裕一君は,熊本大学工学部を卒業後,熊本大学および八代工業高等専門学校で教鞭をとられ,爆発衝撃波および爆破工学に関係する研究で多くの学生の卒論・修論を指導した。また,九州大学において「爆発衝撃波の伝ぱに関する研究」で工学博士の学位を取得された。
熊本大学では,爆発現象の研究として爆発で発生する衝撃波の伝ぱ特性に関する研究に関する研究を実施し,学位論文としてまとめた。八代工業高等専門学校では,爆破破壊制御技術の基礎的研究や理論的な研究を実施し,装薬ホルダーによる亀裂制御技術の開発,爆薬駆動による高速載荷装置の開発,高速度ビデオによる亀裂進展状況の可視化等で多くの研究成果があり,学術論文および特許も多く,日本を代表する研究者でもある。装薬ホルダーによる亀裂制御技術は,建設会社との共同研究の成果として建築現場の杭頭処理技術へと実用化され,火薬業界の発展に大きく貢献した。また,火薬学会では発破専門部会で,動的破砕制御技術の研究を主導し,学会の発展に貢献している。
中村裕一君の研究成果は,上記の実績から火薬学会および火薬業界の発展に顕著な功績があり,またこれらの研究業績は同時に人材教育にもつながり,火薬類に興味を持った多くの学生,研究者が社会で活躍している。このため,火薬学会学術賞に値する。
1974年3月 | 熊本大学工学部資源開発工学科卒業 |
1976年3月 | 熊本大学大学院工学研究科修士課程資源開発工学専攻修了 |
1976年4月 | 熊本大学工学部研究生 |
1976年11月 | 熊本大学工学部助手 |
1985年4月 | 八代工業高等専門学校土木建築工学科助教授 |
1988年4月 | 工学博士(九州大学) |
1995年7月 | 八代工業高等専門学校土木建築工学科教授 |
2009年10月 | 熊本高等専門学校建築社会デザイン工学科教授 |
2014年3月 | 熊本高等専門学校定年退職 |
2014年4月 | 熊本高等専門学校名誉教授,特任教授(再雇用) |
2016年3月 | 再雇用満了退職 |
学術賞は,火薬関係科学又は技術に関し,顕著な業績を有し,且つ,若手研究者の教育・指導に著しく貢献した社員に授与しています。