片山雅英君は,空気中の爆風波伝播に関する数値シミュレーションを実施し,国内外の実験結果と数値シミュレーション結果との比較を行うことで,爆風の最大過圧および力積の評価を行っている。その研究成果を研究論文としてScience and Technology of Energetic Materials誌へ投稿している。
爆風通過時の最大過圧と力積は保安距離の見積に重要であり,実験せずに数値シミュレーションにより,最大過圧ならびに力積を定量予測可能とすることの意義は大きい。なお,地表に設置された爆薬から生ずる爆風波は通常は2次元軸対称として取り扱えるが,地表効果や複雑な構造物に与える影響を考慮するためには3次元計算が必要となる。片山雅英君は,FCT(Flux Corrected Transport)スキームと3次元直交格子を用いた数値シミュレーションにより,地表における格子方向の最大過圧は実験値と定量的に良く一致することを示している。また,国内外の実験における計測結果の相違点についても考察している.
片山雅英君の研究は,現在のパーソナル・コンピュータに搭載されているCPUを並列化することで,特別な計算機を用意しなくとも,有用な爆風解析結果を提供する3次元計算が可能であることを立証している。この研究成果は火薬類等の保安距離評価に重要な研究として高く評価され,当学会の発展に寄与するものであり,火薬学会技術賞に値する。
1979年3月 | 大阪大学工学部原子力工学科卒業 |
1979年4月 | センチュリリサーチセンタ(株)(現 伊藤忠テクノソリューションズ(株))入社 |
2001年7月 | 東北大学 博士(工学) |
2006年4月 | 東京工業大学応用セラミックス研究所客員教授(2016年3月まで) |
2012年4月 | 熊本大学衝撃・極限環境研究センター客員教授(2013年月まで) |
2016年4月 | 熊本大学パルスパワー科学研究所客員教授(2017年3月まで) |
2016年4月 | 東京工業大学先導原子力研究所研究員 |
2017年3月 | 伊藤忠テクノソリューションズ(株)退社 |
技術賞は,火薬関係技術の進歩に貢献し,成果を会誌又は論文誌に発表した社員に授与しています。