道信剛志君は、クリック反応により、基本骨格内にテトラゾール基を4個有する高窒素含有エネルギーポリマーの合成検討を行っている。その成果を研究論文としてScience and Technology of Energetic Materials誌へ投稿している。
高窒素含有エネルギー物質の合成研究は、多方面で鋭意検討が続けられているが、その構造と共に、どのような合成経路とするかは反応中間体の安定性も含め、主要な検討課題となっている。一方、クリック反応は、比較的単純な部分構造同士を、高い反応性・選択性を持った炭素−ヘテロ原子結合反応によって結び付け、新たな機能性分子を創出する手法であり、道信剛志君は芳香族ポリマーのクリック反応について検討を続けてきた。その中で得られた1,1,4,4-tetracyanobutadiene構造に着目し、アジドイオンとクリック反応させることにより、ポリマーの基本骨格内に4個のテトラゾール基を形成する可能性を見出した。
道信剛志君の研究は、安定な反応中間体を経由し、高い反応性・選択性により新たな高エネルギーポリマー創出の可能性を示唆したものであり、今後の発展が期待される。この研究成果は高く評価され、当学会の発展に寄与するものであり、火薬学会奨励賞に値するものである。
1999年3月 | 早稲田大学理工学部応用化学科 卒業 |
2000年3月 | 早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻修士課程 修了 |
2003年3月 | 早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻博士後期課程 修了、博士(工学) |
2006年3月 | 東京農工大学大学院 助教 |
2008年4月 | 東京工業大学グローバルエッジ研究院 テニュア・トラック助教 |
2012年10月 | 東京工業大学大学院理工学研究科 准教授 |
2016年4月 | 東京工業大学物質理工学院 准教授 |
奨励賞は,火薬関係科学又は技術に著しく貢献し, 成果を会誌又は論文誌に発表した若手社員に授与しています。