伊里友一朗君は,硝酸アンモニウムを含む無機塩系物質の燃焼・爆発の化学反応機構解析とそのモデリングに関する基礎研究として,熱分析を中心とした実験的手法,および量子化学計算などの計算化学手法を駆使し,上記物質の反応機構を解析し,そのモデル化を行った。その過程で得られた研究成果を2015 ─2017 年中にScience and Technology of Energetic Materials にて3 報発表した。
まず,高圧環境下における熱─生成ガス同時分析実験系を用いて硝酸アンモニウムのIn-situ 生成ガス分析を行い,得られた結果を化学平衡論および反応速度論の観点から考察し,硝酸アンモニウムの液相における分解機構を提案した。次に,ヒドロキシルアミンの気相での分解反応に関する詳細反応モデル(YNU model)を第一原理計算より構築して,分解機構を理論的に明らかにし,エネルギー物質一般(高含窒素化合物)の詳細反応モデルを提案した。さらには,YNU model を拡張し,硝酸アンモニウムの気相反応機構を第一原理よりモデリングし,気相での硝酸アンモニウムの分解生成ガスの高精度予測に成功した。
以上の研究は,無機系エネルギー物質,特に硝酸アンモニウムの高速過渡的な化学反応解析に関する実験的・計算的手法を深化させたものであり,エネルギー物質の爆発学理を構築する基盤技術として高く評価できる。この成果は火薬学会技術賞に値する。
2008年3月 | 横浜国立大学工学部物質工学科 卒業 |
2010年3月 | 横浜国立大学大学院環境情報学府環境リスクマネジメント専攻 博士課程前期修了 |
2010年4月 | 住友化学株式会社(2013年9月まで) |
2015年4月 | 日本学術振興会特別研究員(DC2) |
2016年3月 | 横浜国立大学大学院環境情報学府環境リスクマネジメント専攻 博士課程後期修了 博士(工学) |
2016年4月 | 日本学術振興会特別研究員(PD) |
2016年4月 | 横浜国立大学先端科学高等研究院 招聘助教 |
2016年10月 | 横浜国立大学大学院環境情報研究院 助教 |
技術賞は,火薬関係技術の進歩に貢献し,成果を会誌又は論文誌に発表した社員に授与しています。