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2018年度火薬学会賞

技術賞  藤垣 雄一 君, 加藤 久敦 君, 松崎 伸一 君, 矢野 英治 君

「はやぶさ2 衝撃装置/爆薬部の開発」

 藤垣雄一君らの日本工機(株)白河工場では,はやぶさ2 に搭載されている衝撃装置/爆薬部(インパクター)を開発した。はやぶさ2 は,小惑星リュウグウから岩石サンプルを採取して地球へ持ち帰ることが大きなミッションであるが,はやぶさ1 が小惑星の表面の岩石サンプルだけの採取であったが,小惑星の地中からも採取することが新しいミッションになっている。このミッションでは,小惑星の表面を破壊し,内部の岩石に到達してサンプルを採取する必要がある。このためには,日本工機(株)白河製作所では,小惑星表面に高速度の金属片を打ち込みクレーターを作成する方法として,火薬類を利用する衝撃装置/ 爆薬部(インパクター)を世界で初めて開発した。またこの技術は,宇宙空間で大量の爆薬を爆発させる初めての試みでもある。小惑星地中の岩石は,外部の宇宙線や太陽光等の影響を受けていないため,生成当時の状態にあると推定されるため,太陽系の生い立ちの解明に大きく貢献できることが期待される。
 これらの研究開発成果は,火薬産業の技術が,宇宙開発の最先端の分野で活躍を示し,火薬学会技術賞に値するものである。

推薦論文

  1. はやぶさ2 に夢を乗せて:衝撃装置/爆薬部の開発について EXPLOSION Vol. 28, No. 2, 2018

藤垣 雄一 略歴

1978年 秋田大学鉱山学部燃料化学科 卒業
1978年 日本工機株式会社入社
2008年 日本工機株式会社白河製造所研究開発部 部長
2011年 はやぶさ2 社内プロジェクトリーダー
2013年 日本工機株式会社白河製造所品質保証部 部長
2016年 技術企画室
  現在に至る

加藤 久敦 略歴

1982年3月 日本大学理工学部航空宇宙工学科 卒業
1982年4月 日本工機株式会社 入社
2002年4月 日本工機株式会社研究開発部 主幹
2006年3月 熊本大学大学院自然科学研究科生産システム科学専攻
博士後期課程 満期退学(同年,工学博士)
2011年1月 はやぶさ2 社内プロジェクトサブリーダー(設計担当)
  現在に至る

松崎 伸一 略歴

1993年3月 山形大学工学部応用化学科 卒業
1995年3月 山形大学大学院工学研究科物質工学専攻 博士前期課程 修了
1995年4月 日本工機株式会社 入社
2011年1月 はやぶさ2 社内プロジェクト チーム員(開発担当)
2013年7月 日本工機株式会社研究開発部開発第1グループチーフ
  現在に至る

矢野 英治 略歴

1998年3月 千葉工業大学金属工学科 卒業
2000年3月 千葉工業大学大学院工学研究科金属工学専攻 前期博士課程修了
2003年3月 千葉工業大学大学院工学研究科金属工学専攻 後期博士課程修了
2003年3月 日本工機株式会社 入社
2011年1月 はやぶさ2 社内プロジェクト チーム員(開発担当)
  現在に至る

技術賞は,火薬関係技術の進歩に貢献し,成果を会誌又は論文誌に発表した社員に授与しています。

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