伊里友一郎君と三宅淳巳君は,硝酸ヒドロキシアミンを含む高エネルギー物質の熱分解・燃焼について,その反応メカニズムやモデルリングに関する実験的研究および理論研究を進めている。その研究成果の一つとして,熱分析による実験手法と量子化学計算による計算化学手法を用いて,硝酸ヒドロキシアミンの熱分解・燃焼の反応メカニズムを解明し,その反応モデルを示した。これらの研究成果は,硝酸ヒドロキシアミン水溶液に関する詳細反応機構解明として,Science and Technology of Energetic Materials 誌で掲載された。また,硝酸ヒドロキシアミンの凝縮相熱分解に関する詳細反応機構に関する研究手法は,これまで理論的な解明が困難であった高エネルギー物質の熱分解・燃焼の反応メカニズムの解明に適用できることを示した。このことは,新規高エネルギー物質の開発や未知の化学物質の安全性評価に活用できることが想定され,火薬産業界の発展と安全向上にも貢献できると期待できる。
これらの研究成果は,火薬類に代表される高エネルギー物質の化学反応を実験と量子化学計算から解明する研究成果であり,新規化学物質の反応性や安全性を評価する上で貴重な成果である。また,最先端の研究成果で,学術的にも火薬学会に大きく貢献するものであり,火薬学会論文賞に値するものである。
2008年3月 | 横浜国立大学 工学部物質工学科 卒業 |
2010年3月 | 横浜国立大学大学院 環境情報学府 博士課程前期 修了 |
2010年4月 | 住友化学株式会社(2013年9月まで) |
2015年4月 | 日本学術振興会 特別研究員(DC2) |
2016年3月 | 横浜国立大学大学院 環境情報学府 博士課程後期 修了 |
2016年3月 | 博士(工学)取得 |
2016年4月 | 横浜国立大学 先端科学高等研究院 招聘助教 |
2016年10月 | 横浜国立大学大学院 環境情報研究院 助教 |
現在に至る |
1984年3月 | 横浜国立大学大学院工学研究科 修了 |
1984年4月 | 横浜国立大学助手,以後,講師,助教授を経て |
2006年4月 | 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授 |
2014年4月 | 横浜国立大学安心・安全の科学研究教育センター長 |
2016年5月 | 横浜国立大学先端科学高等研究院副高等研究院長・教授 |
2019年4月 | 横浜国立大学学長補佐 |
現在に至る |
論文賞は,火薬関係科学又は技術に関し,顕著な論文を論文誌に発表した社員に授与しています。