高橋良尭君は,発破による岩石破壊メカニズムの理論的研究に従事し,その成果を「Fundamental study on rock fracture mechanism induced by blasting in small-scale blasting tests」としてScience and Technology of Energetic Materials誌に発表している。
露天掘りでの採鉱・採石等では,経済性・効率性の観点から一般的に発破による方法が用いられるが,飛石による事故や振動・騒音等の環境影響が問題となっている。これに対して多くの野外実験が行われ,その結果が多数報告されているが,それぞれの発破条件の違いからそのメカニズムを議論することは難しい。そこで,これらの問題を制御するためには発破による岩石破壊メカニズムを理論的に検証する必要があると考え,今回の検討に至った。
供試体としてモルタルブロックを用い,小規模発破を行った際の供試体表面(自由面)の歪プロファイルをDIC 法(デジタル画像相関法)により評価した。その結果,発破による脆弱材料表面の高速歪は可視化でき,DIC 法で評価できることを示した。また,発破による亀裂発生は歪の大きさだけでなく,歪速度も大きく影響していると共に,特定のタイミングで歪速度がある値以上の領域にある場合に亀裂が伝搬することを明らかにした。
高橋良尭君の研究は,発破作業の安全化,発破による環境影響の低減化に影響を与えるものであり,今後の発展が期待される。この研究成果は高く評価され,当学会に大きく貢献するものであり,火薬学会奨励賞に値するものである。
2016年3月 | 九州大学大学院工学府地球資源システム工学専攻 修士課程修了 |
2019年3月 | 九州大学大学院工学府地球資源システム工学専攻 博士課程修了 |
2019年4月 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 産総研特別研究員 |
2020年4月 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 研究員 |
現在に至る |
奨励賞は,火薬関係科学又は技術に著しく貢献し, 成果を会誌又は論文誌に発表した若手社員に授与しています。