橘武史君は,東京大学航空学科を卒業,同大学院工学系研究科(航空学専攻)博士課程を修了しで博士号を取得された。その後,九州工業大学工学部機械工学科に奉職され,高エネルギー物質の燃焼工学および宇宙工学に関係する研究で多くの学生の卒論,修論および博論などを指導した。
一貫して着火・燃焼の特性解明や燃焼制御に向けた基礎的研究や理論的研究を実施し,その応用として推進薬に放電やレーザーをハイブリッド付加させることによる新しい燃焼技術を提案し,多くの研究成果をあげた。学術論文は火薬学会STEM誌だけでなく,宇宙推進および燃焼関連で著名なJ. Propulsion & Power誌(例えばPerformance Characteristics of a Water/Dimethyl-Ether Propellant Arcjet, 2020)やFuel誌(例えばBurning velocities of dimethyl ether–nitrous oxide mixtures, 2018)などの国際誌に非常に多くの論文を発表した。推進機や燃焼方法に関連する特許も取得した。
火薬学会では,常任幹事を務め,火薬学会西部支部主催の火薬学会秋季研究発表会の開催と運営に尽力し,学会事務局も務めた。また,通常学会や年度末に支部開催される学生発表会では,多くの学生を指導登壇させた。
橘武史君のこれらの功績は,火薬学会並びに火薬工業界,そして宇宙工業界の発展に顕著に寄与し,同時に高エネルギー物質の安全な利用技術の向上に大きく貢献している。火薬学会学術賞に値する。
1978年3月 | 東京大学 工学部 航空学科卒業 |
1985年2月 | 東京大学大学院 工学系研究科 航空学専攻 博士課程修了 (工学博士) |
1985年3月 | 九州工業大学 工学部 機械工学科 講師 |
1987年8月 | 同上 助教授 |
2002年11月 | 同上 教授 |
2007年4月 | 同上 改組/大学院工学研究院 機械知能工学研究系 教授 |
2018年3月 | 同上 定年退職(名誉教授) |
2018年4月 | 同上 工学部 教授 2020年3月まで |
2018年4月 | 北九州工業高等専門学校 特命教授 |
学術賞は,火薬関係科学又は技術に関し,顕著な業績を有し,且つ,若手研究者の教育・指導に著しく貢献した社員に授与しています。