1998年度火薬学会賞-技術賞 |
古賀 道生 君 「発音体の研究」 発音体として従来は塩素酸カリウム系の鋭敏な火薬が用いられていたが,テルミット系の鉛丹とマグナリウムの混合が開発され,現在の主な発音体として使用されている。しかし,鉛は環境上有害な金属であり,今後使用しないことが望ましいことは明白である。古賀道生君の研究は,鉛の使用量の減少及び鉛を使用しない発音体の開発を行うとともに,発音機構の解明を行ったものである。 本研究によると,鉛丹とマグナリウムの混合物に酸化銅を加えた三成分混合物の発音体としての可能性を検討し,鉛丹の混合比を現在の90%から65%まで減少させることができる。さらに鉛丹を含有しない三酸化モリブデンなどの金属酸化物単体とマグナリウムの二成分混合物,酸化銅(II)と酸化ニッケルなど二種の金属酸化物とマグナリウムを合わせた三成分混合物の熱反応及び発音反応を種々の計測・分析装置を用いて系統的に検討した。 以上の研究成果は,煙火用発音剤の発音機構の解明に大きく寄与するものである。また,環境問題を考慮した煙火組成物の開発を科学的に進めたことは,技術賞に値するものである。 推薦論文 「鉛丹-酸化銅(II)-マグナリウム混合物の熱挙動」 「酸化銅(II)-酸化ニッケル-マグナリウム混合物の熱挙動」 「三酸化モリプデン,石酸化バナジウム,酸化カドミウムとマグナリウム混合物の熱挙動」 略歴 1969年4月 九州産業大学工学部勤務,現在に至る 審査委員長 小川輝繁 |
技術賞は,火薬関係技術の進歩に貢献し,成果を会誌又は論文誌に発表した社員に授与しています。
© Copyright 1999-2024 Japan Explosives Society. All right reserved. |