1998年度火薬学会賞-論文賞 |
青木 一郎 君 「高エネルギーCMDB推進薬の燃焼速度特性」 ダブルベース系推進薬の燃焼機構に関しては,古くから多くの研究者による報告がなされているものの燃焼速度を制御するための物理量が何であるかが明確にされていない。また,ロケットモーター設計の際に非常に重要になる推進薬の温度感度に関しても制御する物理量が明確にされていない。 青木一郎君の研究は,推進薬,特にダブルベース及びコンポジット化ダブルベース(CMDB)推進薬の燃焼機構に関するものであり,推進薬の燃焼速度を制御する時に必要な物理量を明確にしたものである。推進薬の燃焼速度は推進薬の爆発熱量と相関があることは既に知られているが,爆発熱量を増加することで,フィッツゾーン内の反応を加速することを明らかにした。また,ダブルベース推進薬にHMXを添加することでフィッツゾーン内の反応を低下させることを明らかにした。更にダブルベース推進薬およびCMDB推進薬の初期温度が燃焼速度に影響を与える共通の物理量としての温度は燃焼表面温度とダークゾーン温度であることを示した。 以上の研究成果は,推進薬の燃焼速度を制御するためのパラメータを明確にしたものであり,将来の燃焼速度領域拡大のための技術に大きく寄与するものであり,論文賞に値する。 推薦論文 「高エネルギーCMDB推進薬の燃焼速度特性(I)」 「高エネルギーCMDB推進薬の燃焼速度特性(II)」 「高エネルギーCMDB推進薬の燃焼速度特性(III)」 略歴 1969年3月 東京理科大学工学部機械工学科卒業 審査委員長 小川輝繁 |
論文賞は,火薬関係科学又は技術に関し,顕著な論文を論文誌に発表した社員に授与しています。
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