[火薬学会][学会活動][環境安全委員会]

火薬類に関する環境問題アンケートについて
環境対応小委員会

1.はじめに

火薬学会では、環境安全委員会(田村委員長)の下に環境対応小委員会(越委員長)を設けて、火薬類の環境に及ぼす影響について調査、検討を進めることとなった。
先般、小委員会で取り上げるテーマを探る目的で「火薬類に関する環境問題アンケート」を実施し、どのような環境問題に直面しているか、また将来、どのような問題が予想されるのか等について調査をしたので紹介する。

2.調査アンケート

アンケートは、製造会社、大学及び煙火関係者からなる委員会の各委員が、それぞれ関係周辺にヒヤリングして回答を得たものである。
また、製造業者である日本火薬工業会の会員会社にもアンケート用紙を送付してそれぞれ回答を得た。

3.アンケートのまとめ

アンケートは4つの設問とした。
各回答の中から複数以上の回答のあった内容をまとめて次に記す。

アンケート集計結果
設問1.現在及び将来にわたり、火薬類の廃棄処理にかかる問題としてどのようなものがあるか。
  • 現行の火薬類取締法で認められているオープンバーニング(野焼き)は、大気汚染防止の観点からいつまでも認められないのではないか。
    将来、それに代わる安全上、環境上有効な廃棄処理技術の開発と多額の設備投資が必要となると思われる。
  • 火薬類の現行の焼却、爆却処理に伴う排煙、臭気、騒音等に対して周辺住民の苦情、不安が高まり規制の強化が図られるようになると思われる。
  • 火薬類の溶解処理による有害物質を含む廃水の管理、火薬類の埋設処理による土壌汚染等が問題である。
  • 火薬類の包装資材等の廃棄処理方法が問題となっている。(例、アンホの空袋、導火管付き雷管のチューブ、火工品のローディングケース等)
設問2.火薬類の燃焼、爆発生成ガス(後ガス)にかかる環境影響問題としてどのようなものがあるか。
  • 燃焼ガスや爆発生成ガスに含まれるNOx等の有害物質(煙火の金属酸化物を含む)による大気汚染の程度はどの程度か、環境基準との対比等環境アセスメント情報が欲しい。
  • 火薬類の環境影響度は、重機類使用の場合のそれと比べてどうか。
  • 打上花火の騒音問題
設問3.火薬類にかかるPRTR(環境汚染物質の排出・移動量の登録)を推進していく上でどのような問題があるか。
  • 環境汚染物質の把握方法がよく分からない。
  • 有害物質を含む密閉製品が消費されるときの有害情報が得にくい。
  • PRTRに対する周囲の認識不足がある。
設問4.その他火薬類に関する環境問題にはどのようなものがあるか。
  • 環境に優しい火薬類への改良、改善
  • 環境汚染物質を含む火薬類の使用規制への対応
  • 市街地などの保安物件の接近対策
  • 火薬類消費における発破音、振動等の管理基準の設定及び水質汚染、粉じん等の対策
  • 燃焼処理に代わる安全な化学分解処理法の確立
  • 適用除外品の環境影響度
  • 煙火のリサイクル問題
  • 廃薬処理の集中化
4.今後の進め方
今回のアンケートにより、火薬類の環境問題を大づかみであるが把握出来た。しかし調査対象が委員及び製造関係者に偏っているので、今後は消費関係や煙火の関係者をはじめ、もう少し幅広く各方面から環境問題を把握したい。
その意味で本資料に対するご意見や、他の環境問題等があれば委員会にお寄せいただきたくお願いする次第です。
最後に、このアンケート調査にご協力戴いた下記の会社にお礼申し上げます。(順不同)

北洋化薬(株)・三菱電機(株)・ラジエ工業(株)・旭化成(株)昭和金属(株)・日油技研工業(株)・津久見共同アンホ(株)日本化薬(株)・ワイ、エス、ケー(株)・四国アンホ(株)・日本工機(株)中国化薬(株)・日興技化(株)・北海道日本油脂(株)三菱重工業(株)・細谷火工(株)・日本油脂(株)・日本電池(株)日本カーリット(株)・(株)IHIエアロスペース

環境対応小委員会委員
越(東大)、阿久津(東大)、北島(中化)、橋爪(日化)、畑中(煙火検)、松永(産総研)、山本(旭)、角谷(日油)、若倉(神奈川産総研)、比嘉(工業会)
以上

© Copyright 1999-2024 Japan Explosives Society. All right reserved.

[火薬学会][学会活動][環境安全委員会]