2023年度火薬学会賞
奨励賞 平野 知之 君
「アルミナ粒子の管状火炎合成:前駆体へのエネルギー物質添加の効果」
平野知之君は,専門とする微粒子材料の高機能化デザインに関するテーマから,今回は燃焼を用いた微粒子合成法の開発として,前駆体への高エネルギー物質の添加が粒子特性に及ぼす効果に着目し,管状火炎燃焼を用いて初めてアルミナ微粒子の合成を提案,確認した。本報告では,燃焼エネルギー利用と,温度やガス濃度による粒子形態や組成の高精度な制御を行うことで効率的な手法となっていることが特筆される:前駆体添加物質としてANを用いた場合,火炎場でその分解・燃焼によって発生する大量ガスによって粒子形成において変形を生じさせること,尿素を用いた場合は,高温α-アルミナ相の割合が増加することなどが,系統だった実験を通じて示されている。
本成果は,当学会が推進しているエネルギー物質を利用した研究にもとづき,実用化に向けた将来性のある展開が見込まれるものである。また学会内の産学連携として継続されることで今後も広がりのある同君の活躍が期待され,奨励賞に相応しいものと判断される。
推薦論文
略歴
2018年3月 | 広島大学 工学部第3類 化学工学課程 卒業 |
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2020年3月 | 広島大学 大学院工学研究科博士課程前期 化学工学専攻 修了 |
2020年4月 | 日本学術振興会 特別研究員DC1 |
2022年3月 | 広島大学 大学院先進理工系科学研究科博士課程後期 化学工学プログラム 修了(飛び級による早期修了) |
2022年3月 | 博士(工学)取得 |
2022年4月 | 広島大学大学院先進理工系科学研究科 助教 |
奨励賞は,火薬関係科学又は技術に著しく貢献し, 成果を会誌又は論文誌に発表した若手社員に授与しています。