一般社団法人火薬学会

Japan Explosives Society

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学会案内

会長就任の挨拶

一般社団法人火薬学会会長 堀 恵一

火薬学会社員のみなさま、前期に引き続き会長職を仰せつかりました。

2年前は未曾有のコロナ禍が始まり間もなしという、まったく先行きの見えない状況でした。学会の活動は実質上すべてリモート化され、この2年間はほとんどの社員の皆様方とお会いできぬまま過ごしてまいりました。国際学会、研究発表会、各委員会・専門部会はすべてオンライン、学会運営は無機質かつ必要最小限の形態となっています。

コロナ禍、100年前のスペイン風邪とよく比較されます。スペイン風邪は全世界で非常に多くの方が犠牲となりましたが、3年で収束しました。コロナ禍が始まった当時は、医学の進歩から判断して収束に3年はかかるまいと想像していましたが、楽観にすぎませんでした。ゲームチェンジャーと期待したワクチンは決定打とはならず、新たな変異株に対応しきれていません。現状は「変異の度に感染力は強まるものの毒性は低下する」という変異に関するある種の一般論に頼っているとしか見えません。

既に世界はwith Coronaで動いており、日本も追従する気配です。本学会もこの先、波はあるでしょうが、大きな流れとしては緩和の方向に向けて進んでいくのでしょう。

もっとも、リモート化は悪い話ばかりではありません。これまで学会主要会議メンバーはすべて関東在住社員に限られてきましたが、遠隔参加が可能となったため地方の社員の方々の参画が促進され、学会運営が多様化してきています。また、これまで出張が多く多忙だった社員のみなさんの在宅確率が上昇したため、会議の開催が容易になりメンバーの会議出席率も上昇しています。そのせいか一昨年からお願いさせていただいている専門部会の活性化も進んでおり、その中から「計算化学」「SDGs」という2つのWGが立上がったことは嬉しい誤算でした。

計算化学WGは、近年発達した色々な計算ツールの使用法をその道のベテランの先生方から若い人たちに伝授していただく貴重な機会です。若い研究者のみなさんが、そういったツールを実験結果の理解に役立て大いに研究の質を上げて、学界への貢献度を高めていただけることを願ってやみません。

SDGsは世界中がこぞって取組まねばならない課題であり、既に各組織が強弱こそあれすべて推進しています。学会のSDGs WGの活動意義は、高エネルギー物質に関する研究者達が、既に業界の企業が推進するSDGs活動にどう横断的に貢献できるかを模索・提案することにあると考えています。その中で新しい形の産学連携が見えれば幸いです。SDGs washと批判されないような実質的かつ低負荷の活動が始まることを大いに期待しています。

学会は今、地方への拡大・若返りを図っています。コロナ禍でやや停滞中の学会ですが、新しい戦力のみなさんとともに新味のある学会に変革していきたいと考えております。もちろん全社員のみなさまのご協力が不可欠です。どうぞよろしくお願い申し上げます。