モビリティ安全専門部会
部会長 富山 昇吾
火薬学会に関連する自動車用安全部品としては,エアバッグ,シートベルトプリテンショナー等が知られている。いうまでもなく,エアバッグの展開に使われるインフレータ,シートベルトプリテンショナーの駆動に使われるガス発生器,またそれらのイグナイターは火工品であり,そのことが,迅速な作動,正確な動作,そして高い信頼性を保証している。現在,乗用車の運転席用エアバッグの装着率(新車に対する)は,ほぼ100%に達しているが,助手席,サイド,後部座席用等,エアバッグの搭載個数は増え続けており,火薬業界にとっては最重要分野の一つとなっている。一方,我が国は,自動車用エアバッグの発明国であり,また,インフレータ用ガス発生剤の主剤であるアジ化ナトリウムの毒性にいち早く注目し,世界に先駆けてその使用を撤廃するなど,この分野でのパイオニアであるともいえる。しかしながら,最近では,ヘッドレスト,ロールバー,ステアリングコラム等に火工品を用いた自動車安全部品が続々と海外から入ってきており,この分野における開発の遅れが目立ってきている。
本専門部会では,自動車用安全部品に関する世界の情報を共有化するとともに,新たな製品開発の方向性を予測し,次々世代の自動車安全部品の開発とそれに向けた,産官学の連携の橋渡しを行って行きたいと考えている。また,講演会,見学会,ニュースレターの発行なども積極的に行って行きたい。
部会員としては,火薬工業会の自動車安全部品部会のメンバーを中心に,この分野に興味を持つ会員の参加を期待している。